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「溶ける」と言われる糸や架橋ヒアルロン酸も、体内では被膜形成・嚢胞化・癒着などのトラブルを引き起こすことがあります。繰り返し施術をすることでたるみが悪化するリスクがあり、後の切開リフト手術を複雑にするケースも。山口院長が実際の手術で目にした実態と、施術を繰り返している方への具体的な注意点を丁寧に解説します。
【監修】 山口憲昭 院長(リゾナスフェイスクリニック東京)
【執筆】 美容医療専門ライター izu
本記事は、YouTube動画の内容をもとに内容の正確性を保ちつつ編集・構成し、医師の監修のもと公開しています。
「溶ける」という言葉の落とし穴

「溶けるから安心」という言葉を、美容施術でよく耳にします。
しかし山口院長によると、「溶ける性質を持っていることと、実際に溶けるかどうかは別の話」とのことです。
美容医療で注入剤として使われるヒアルロン酸は「架橋ヒアルロン酸」と呼ばれるもので、架橋結合によって構造が安定しているため体内で長持ちする一方、分解されにくいという性質も持っています。溶ける糸と同様に、素材としては体内で分解される性質を持っています。
ただし、体の反応によって「溶けない状態」になってしまうことがあるのです。
そのため、施術を繰り返す前に、体内で何が起きているのかをきちんと知っておくことが大切です。
架橋ヒアルロン酸が体内で起こすこと

被膜形成と嚢胞化のメカニズム
架橋ヒアルロン酸は体内に入ると、溶けようとします。
一方で、人間の体はそれを「いらないもの」と判断します。
しかし、架橋ヒアルロン酸が動かせない場合、体は次の手段を取ります。
それが「被膜形成」です。
被膜とは、架橋ヒアルロン酸の周りを包む袋のようなものです。
この袋は、早ければ6週間ほどから形成が始まります。
完成するまでには、1年ほどかかることもあります。

山口院長によると、袋が完成すると「嚢胞化」した状態になるとのことです。
イメージとしては、蚕(かいこ)が繭(まゆ)を作るようなものです。
繭の中に閉じ込められた状態になると、中身はもう外に出られません。
つまり「体の中に体の外を作っているような構造」になります。
こうなると、袋の中の架橋ヒアルロン酸はもう溶けません。
「溶ける架橋ヒアルロン酸」は確かに分解される素材です。
しかし、一度嚢胞化してしまったものは溶けなくなるのです。
なお、組織が破壊されるかという点については、山口院長によると「組織が破壊されることはない」とのことです。
なぜなら、体が嚢胞の中に異物を隔離し、大人しくさせる構造を作るためです。
ただし、施術を行うとき——すなわち糸を入れる時や、注入処置をする時——には、組織にダメージが加わる可能性があります。
この点は注意が必要です。
繰り返し注入で起きるボコボコと垂れ下がり

架橋ヒアルロン酸を繰り返し注入する方は多くいます。
「溶けるから足しても大丈夫」とイメージされている方もいます。
ところが実際には、前の袋が残ったまま、新たな袋が上乗せされていきます。
そのため、山口院長によると中でボコボコしてくるとのことです。
また、年齢とともにお顔の組織は薄くなっていきます。
すると、そのボコつきが表面から見えてくるようになります。
さらに深刻なのが、骨にくっついていない場所への架橋ヒアルロン酸注入です。
骨と繋がっていない部分に注入すると、重みで垂れ下がってきます。
その結果、たるみを助長してしまうことがあります。
「ふくらませてたるみを改善したい」という目的のはずが、逆にたるみを悪化させてしまう可能性があるのです。
一旦骨から離れてしまった皮膚は、2度と帰ってこないと山口院長は言います。
それを引き戻すには、伸びてしまったリガメントを全部外して、組織を戻してくることが必要になります。
溶ける糸リフトの実態

「半年以上効果が続く」の正体とは
山口院長は、溶ける糸について明確に伝えています。
「解ける糸でずっと若い顔でいられる、ということはありません」
ビフォーアフターが綺麗に見えるクリニックもあります。
また、患者様が「半年後もまだ効果がある」と感じているケースもあります。
しかし山口院長によると、それは同時に受けたボトックスや、一緒に注入した架橋ヒアルロン酸の効果であることが多いとのことです。
溶ける糸単体で半年以上効果が持続するというのは、現実的ではないと言います。
つまり「糸だけの効果」として理解していたものが、実は複数施術の複合効果だったというケースが考えられます。
また、糸のリフトを繰り返して1回あたり50万円×5回、合計250万円以上を支払った後に当院を訪れる方もいらっしゃいます。
その金額であれば、本格的な切開リフトが選択できたケースもあります。
断片化と被膜化が引き起こす問題
溶ける糸は体内でブチブチと断片化しながら分解されていきます。
断片化した部分には、非連続的な硬い組織ができていきます。
そして被膜化が進みます。
山口院長によると、「1年半で溶けると説明を受けていた患者様が、3年後に切開リフトを受けた際、まだ糸が残って絡んでいたケースもあった」とのことです。
「溶ける」という性質を持っていても、体内で被膜化してしまうと残ってしまうことがあるのです。
「溶ける」という言葉に惑わされず、正確に理解しておくことが大切です。
切開リフトで開けてわかること〜術中の実態〜

被膜化した架橋ヒアルロン酸の実態
山口院長はフェイスリフト(切開リフト)を数多く手がけています。
以前に糸や架橋ヒアルロン酸の施術を受けた方の手術も行っています。
実際に切開して開けると、さまざまなことがわかります。
まず、嚢胞化した架橋ヒアルロン酸の袋は、周囲の組織よりも硬くなっていることが多いです。
また、本来はくっついていないはずの組織が「癒着」している現象も見られます。
さらに、3年以上前に注入した架橋ヒアルロン酸が、手術時にダラダラと出てくることもあります。
バッカルファットの水の中に入り込んでいるケースもあります。
このような場合、取り出す作業と、架橋ヒアルロン酸を溶かす処置の両方が必要になることがあります。
当院では、ヒアルロン酸を溶かす薬を使用しています。
ただし、嚢胞化した架橋ヒアルロン酸の溶解には注意が必要です。
嚢胞の中に薬が入らないと溶けないため、エコーで確認しながら注入する必要があります。
「他院で架橋ヒアルロン酸を溶かしてきた」という状態で来院される方もいます。
しかし山口院長によると、全然溶けていないケースが多いとのことです。
それは、嚢胞の中に溶かす薬が届いていないことが原因と考えられます。
糸が神経に絡まる危険性と手術の複雑さ

さらに複雑になるのが、溶ける糸や溶けない糸を以前に入れているケースです。
山口院長によると、解剖学をしっかり理解した経験豊富な医師が行う場合と、そうでない場合とで、糸の位置が大きく異なるとのことです。
経験の浅い医師が入れた糸が、本来入れるべき層を貫通してしまっているケースがあります。
そして、神経・耳下腺管・血管の周りに絡みついていることがあるとのことです。
これが手術を非常に困難にします。
切開リフトにおける「ディーププレイン」という手技があります。
リガメント(靭帯)をきちんと剥がして顔の組織を「1枚もの」にすることで、外側の力が内側まで伝わります。
これによって、顔全体がパンと張る効果が期待できます。
このリガメントのある硬い部分には、神経が走っています。
そこに糸が絡まっていると、剥がそうとすると神経が切れそうになります。
「剥がさないと顔が上がらない。でも外そうとすると危険」という状況が生まれます。
山口院長によると、非常に神経をすり減らしながら対応しなければならない作業になるとのことです。
そのため、リゾナスフェイスクリニック東京では、以前に糸のリフトや脂肪吸引を受けている場合は「修正手術」扱いとなります。
その点もあらかじめ理解しておくことが重要です。
フェイスリフト(切開リフト)には、以下のようなリスクや副作用が生じる可能性があります。
・腫れ・内出血・痛み(術後一定期間続く場合があります)
・感染・縫合部の炎症
・感覚の変化・しびれ(一時的または長期的に生じる場合があります)
・傷跡・ケロイド
・左右差・仕上がりの個人差
・麻酔に関連したリスク
・再手術が必要となる場合があること
詳細はカウンセリング時に医師よりご説明いたします。
専門医が伝えるケアの方針

架橋ヒアルロン酸を繰り返している方への注意点
山口院長からの目安として、同じ箇所への架橋ヒアルロン酸注入は3回までが一つの基準とのことです。
3回以上同じ場所に入れている場合は、一度しっかりと溶かしてリセットすることが勧められます。
ただし、溶かす処置は注入よりも難しいです。
エコーで確認しながら、嚢胞の中に薬を届けなければ溶けません。
一般的なやり方では、嚢胞の中まで薬が届かないことがあります。
「他院で溶かしてきた」という方でも、実際には溶けていないケースもあります。
そのため、適切な医師のもとで処置を受けることが大切です。
糸リフトを検討・継続している方へ

山口院長の率直な意見として、糸のリフトはできれば避けてほしいとのことです。
それでも選択する場合は、解剖学をしっかり理解した経験豊富な医師に相談することが重要です。
そういった医師は、被膜を作らないような入れ方を工夫しているとのことです。
ただし、効果は半年未満であることを理解しておく必要があります。
「半年以上効果がある」と感じている場合は、同時に受けている他の施術の効果である可能性を考えましょう。
また、糸の施術後に本格的な切開リフトを希望する場合は、修正手術として難度が上がります。
その点も踏まえて、慎重に検討されることが勧められます。
たるみ治療の「引き算と足し算」

山口院長が繰り返し伝えているのが、「引き算と足し算」という考え方です。
引き算がしっかりできていないまま足し算ばかりすることが、たるみをさらに悪化させるリスクにつながります。
架橋ヒアルロン酸で顔をふくらませることは「足し算」です。
しかし、骨から離れてしまった皮膚は、2度と戻らないと言います。
それを根本的に戻すには、伸びてしまったリガメントをすべて外して、組織を元の位置に戻す必要があります。
これが本格的な切開リフトの意義です。
たるみ治療には大きく2種類があります。

この2つを混同せず、自分の現状に合った選択をすることが大切です。
なお、フェイスリフト後のメンテナンスとして、当院ではハイフや浅い層にRF(高周波)を加える方法でお顔の引き締めをサポートしています。
きちんとしたメンテナンスを継続することで、良い状態を保てるよう取り組んでいます。
以前に糸や脂肪吸引を受けている場合には、技術と経験のある医師のもとで慎重に検討することが勧められます。
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よくある質問

Q1. 架橋ヒアルロン酸は溶けると聞いているのに、なぜ嚢胞化するのですか?
架橋ヒアルロン酸自体は分解される素材ですが、体がそれを異物と判断して動かせない場合、周りに「被膜」という袋を作ります。この袋が完成すると嚢胞化し、中の架橋ヒアルロン酸はもう溶けない状態になります。被膜は早ければ6週間ほどから形成が始まり、完成まで約1年かかることもあります。「分解される素材である」ことと「必ず溶ける」ことは別の話であると理解しておくことが重要です。
Q2. 溶ける糸は本当に体内に残ることがあるのですか?
溶ける糸は素材として分解が進みますが、ブチブチと断片化しながら溶けていく過程で、断片化した部分に硬い組織が形成され被膜化することがあります。山口院長によると、「1年半で溶けると説明を受けた方が、3年後に切開リフトを受けた際にまだ糸が残って絡んでいたケースもあった」とのことです。溶ける性質を持っていても、体内で被膜化することで残ってしまう場合があります。個人差があります。
Q3. 架橋ヒアルロン酸の注入は何回まで続けていいですか?
山口院長によると、同じ場所への注入は3回までが一つの目安とのことです。3回以上繰り返す場合は、一度ヒアルロン酸を溶かす薬でしっかりリセットすることが勧められます。ただし、溶かす処置はエコーで確認しながら嚢胞の中に薬を届ける必要があり、注入よりも難しい処置です。他院での溶解処置後でも、実際には溶けていないケースもあります。
Q4. 糸のリフトを受けた後でも、切開リフトはできますか?
切開リフトを行うこと自体は可能ですが、以前に糸のリフトを受けている場合は「修正手術」扱いとなります。糸が神経・血管・脂肪の周りに絡まっているケースがあり、手術の難度が上がります。また、脂肪吸引を以前に受けている場合も同様に、手術を困難にすることがあります。経験と技術のある医師のもとでの相談が必要です。個人差があります。
Q5. フェイスリフト後のメンテナンスはどのようにすればいいですか?
山口院長によると、フェイスリフト後はハイフと浅い層にRF(高周波)を加える方法でお顔の引き締めを維持することを勧めているとのことです。このような小さなメンテナンスを継続することで、良い状態を保てるよう取り組んでいます。たるみ治療には「小さなメンテナンスとして継続するもの」と「きちんと直す切開リフト」の2種類があり、それぞれの役割を正しく理解することが大切です。
リゾナスフェイスクリニック東京について

リゾナスフェイスクリニック東京は、外見だけでなく心の豊かさにも寄り添うビューティー・ウェルネス・クリニックです。
患者様一人ひとりが「自分らしく美しく、前向きに生きられること」を大切にしています。
また、美しさと豊かさの両方が共鳴するような医療を目指しています。
- 医学的根拠に基づいた安心の治療
- 顔全体のバランスを考えた”調和”の美容
- 必要のない施術はすすめない誠実な姿勢
- 流行に流されず、長期的視点の提案
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美容医療は単なる外見の変化ではありません。
それは、自信や前向きな気持ちを取り戻すためのサポート手段です。
私たちは、その一歩一歩に真摯に寄り添いながら、豊かな人生への道を共に歩んでいきます。
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